出光の創業者は、どう生きたか?「海賊とよばれた男 上【口コミレビュー・感想・評価】Audible

今回は「海賊とよばれた男 上(著者:百田ひゃくた尚樹)」という小説を評価レビューしていきます。

著者:百田尚樹

声優・ナレーター(朗読):井上和彦

再生時間:14時間6分


【あらすじ・内容】海賊とよばれた男 上、どんな話?

海賊とよばれた男 上」とは、百田尚樹の小説で、出光興産の創業者“出光佐三をモデル”とした男の物語です(上巻)

作中の主人公は“国岡鐵造てつぞう”といい、石油事業立ち上げ~その後の挑戦が描かれています。

(※出光興産とは、ガソリンスタンドでお馴染みの石油を販売している会社)


・・・

「石油」

戦前の日本では“使えない”と揶揄されていた燃料。

しかし「これからの時代は“石油”だ」と、いち早く目を付けたのが鐡造だった。

鐡造は、周りの反対を押し切って、国岡商店(出光)を立ち上げた。

資金繰りに苦労する中、鐡造は持前の人間性で周囲からの協力を得ていく。

困難困難の連続だったが、「士魂商才」という言葉を胸に粘り続け、ようやく事業が波に乗り始める。

しかし、運は鐡造に味方をしなかった。

日本は、中国との戦争、その後アメリカとも戦争に突入し、鐡造の会社は窮地に立たされることになる。

・・・

この小説は、実在する人物をモデルとした、国岡商店(出光興産)の戦前戦後を描いた物語。


【口コミレビュー・感想】海賊とよばれた男 上


海賊とよばれた男 上

百田尚樹の代表作。

有名な小説なので知ってはいたが、読んだことはなかった。

Audibleにて、さっそく聴いてみることに。


まず、読みやすい文章なので、Audibleでもとても聴きやすかった。

文体の好き嫌いは好みもあるというが、百田尚樹の文章は嫌われにくい文体だと思う。


そして内容だが、

百田尚樹は、感情移入させるような人物描写がとても上手い。

ここ最近では失われつつある、損得勘定抜きにした“人の温かみ”

そういった人情が、作中では何度も描かれており、熱いものが込み上げてきた。

もちろん嫌な奴も出てくるが、全体的に登場する人物たちの人柄が素晴らしいのだ。

「海賊とよばれた男」という小説は「人情物語」と言ってもいいのではないだろうか。


また、この小説の難点は、

途中から、歴史の説明が多くなっていたこと。

それまでは、歴史と物語をうまく融合させており、のめり込むように読めた。

しかし、最後のほうになるにつれて、歴史の教科書を読んでいるような、少し冗長な文章も多く見られた。

こういった歴史・経済小説では、ある程度仕方ない面もあるが、小説として微妙な点ではあると思う。


とはいえ総合的には、人物の歴史としても物語としても、とても興味深く面白い小説。

まだ読んでなかった方は、文庫でもオーディオブックでも、ぜひ手に取ってみてはいかがだろうか。


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