今回は「ゲームの王国 上(著者:小川哲)」という小説について評価レビューしていきます。
【あらすじ・内容】ゲームの王国 上、どんな話?
「ゲームの王国 上」とは、小川哲の小説で、カンボジアであった過去の恐怖政治を元に描かれた物語の上巻です。
(※第38回日本SF大賞・第31回山本周五郎賞を受賞した作品)
この作品は、カンボジアの歴史的な背景を持ちながらも、SF要素などを取り入れたエンターテイメント小説。
つまり、史実とフィクションが巧みに織り交ぜられ、読者は歴史の重みを感じながらも、エンタメとしても楽しめる物語となっています。
【口コミレビュー・感想】ゲームの王国 上
“ゲームの王国”
「あれ?なんか思ってた話と違う…」
タイトルだけ見て、読み始めてしまったこの小説。
“ゲーム”とついてるので、ラノベ要素強いのかな?と思ったが、全然違った。
途中で気づき、「政治・歴史関連の小説か…ちょい重たい系かな…」と少し身構えていたが、そんなこともなく。
主人公?のムイタックなどの天才児キャラクターも面白く、カンボジアの史実を扱っていながら、エンタメとして楽しく読み続けられた。
(※ちなみに物語の内容は、大雑把に言えば、現体制の腐った政府を打倒する、という内容。なので“水滸伝”に似てるかも)
難点は、多視点での物語進行。
先ほど“主人公?”となったのは、この多視点のせいでもある。
登場人物が多い上に、次々と視点が切り替わるので、物語が進むにつれ「あれ、コイツ誰だっけ?」となりやすい。
特に、Audibleのようなオーディオブックで聴くと、少し頭がこんがらがる可能性がある。
この多視点での書き方は、よく伊坂幸太郎なども好んで使っているが、伊坂は3人程度なのでまだわかりやすい。
だが今回の物語は、視点切り替えが多すぎる。
水滸伝もそうだったが、やはり多視点で進んでいく物語は、読者が混乱する可能性も高いと思う。。
とはいえ、物語自体は興味を持って聞き続けられた。
政権打倒を掲げる状況下で、「誰が信じられるのか?」という状態も楽しめるし、
上巻の最後、天才児ムイタックの感情の変化には心動かされた。
(仲間側になると思っていた奴が…)
「下巻を読まなきゃ終われない!」と感じさせるラストは素晴らしい!
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