今回は「禁忌の子(著者:山口未桜)」という小説を評価レビューしていきます。
【あらすじ・内容】禁忌の子、どんな話?
「禁忌の子」とは、山口未桜のデビュー作で、第34回鮎川哲也賞を受賞した小説です。
この作品は、救急医の武田が主人公の物語で、彼の元に搬送された溺死体が“自分と瓜二つ”であることを疑問に思い、その謎を追う展開から始まっていきます。
・・・
兵庫市民病院、午後8時頃。
身元不明・推定三十代の男性が、溺死体として運び込まれた。
救急医である武田航は、その溺死体の顏を見て絶句。
……
顔だけではない、体格もすべて“自分と瓜二つ”。
「この男は、いったい何者なんだ…?」
出生を調べても、自分には双子はおろか兄弟もいない。
自分には関係ない…と割り切れればいいのだが、どうにも“あの男の顏”が頭を離れない。
武田は同僚の医師“城崎”に協力を仰ぎながら、自分に隠された過去に迫っていく。
【口コミレビュー・感想】禁忌の子 山口未桜
“禁忌の子”
現役医師が書いた、医療ミステリ作品。
自分と瓜二つの男。
「コイツは何者なんだ!?」から始まる、医者たちが謎を追うミステリー小説。
序盤の謎提示で、一気に引き込まれ、真相を聞くまでは途中で読みやめるわけにはいかなかった。
要所要所で、続きが気になるストーリー展開ともなっており、基本的には楽しく読み続けられた。
ただ、「その回想いるか?」「そこまで具体的すぎる描写いるか?」というような冗長なシーン・説明しすぎる文章はあまり好みではなかった。
登場するキャラクターはどれも特徴が弱いので、細かく描写されても思い出せないのが正直なところ。
(唯一、主人公と“瓜二つの男”だけは、強烈な過去を持っていたので記憶に焼き付いている)
とはいえ、キャラが際立ってない点さえ除けば、興味深いストーリーだったので、気になった方はぜひ手に取ってみてはいかがだろうか。
禁忌の子