今回は「列(著者:中村文則)」という小説を評価レビューしていきます。
【あらすじ・内容】 列、どんな話?
「列」とは、中村文則の中編小説(160ページ)です。
この物語は、主人公が奇妙な列に並んでいる状況から始まります。
・・・
気づいた時、男は列に並んでいた。
先頭も見えないが、最後尾も見えない。
(自分は、何の列に並んでいるのだろう…?)
記憶が全くないのだ。
何もわからないが、離れてはいけない気がした。
(どうすべきか…)
迷いながらも周りの様子を伺っていると、列を抜ける者が何人か現れた。
列は前に進んだ。
なんとなく気分が良かった。
しかし、進めども進めども、列の先頭は一向に見えてこない。
男は思った。
(もう、抜けてもいいのではないだろうか)
しかし、この列を抜けたら、すべてが終わる気もした。
・・・(一体、この列は何なのだ!?)
【口コミレビュー・感想】列 中村文則
“列”
「あとがき」を読むとわかるが、2年以上かけて書いたという中村文則の小説。
書き出しは、とても好みの作品。
いつのまにか“謎の列に並んでいる”という始まりは、SFやミステリー好きなら読まずにはいられないだろう。
というか、この列が何なのか知るまで、読み続けないわけにはいかなくなった。
ゆえにこの手法は、種明かしのハードルも上がるわけだが、、
良かったのは、書き出しだけだった。
ストーリーテリングが微妙だからか、徐々に飽きがきた…というのが正直な感想だ。
著者のいろいろな思いが詰まった小説だとは感じたが、総合的には「う~ん」
とはいえ、哲学的なことを考えるのが好きな人は、読んでみてもいいとは思う。
(物語として面白くはないが、哲学はできそうな作品)
列 中村文則